具体例での説明3
Petersen(ピーターセン、あるいは ペテルセン)グラフです。10個の頂点と15個の辺で構成され、平面的なグラフではありません。彩色には3色が必要十分です。
着色の条件を設定します。
- K5∧R:全体を 4色以内で着色する。
- K6∧R:全体を 5色以内で着色する。
- K7∧R:全体を 6色以内で着色する。
計算はパソコン上のプログラムで実行しました。愚直にすべての着色で辺の真理値を求め整理する方法です。
各論理式を加法標準形式に展開したときの最小項の数を表にまとめます。
K5∧R | 43,947 | Σ(K5∧R) | 8,575 |
K6∧R | 86,472 | Σ(K6∧R) | 8,581 |
K7∧R | 109,299 | Σ(K7∧R) | 8,581 |
Σ(K6∧R) の最小項で、Σ(K5∧R) に含まれないものが、6項あります。それを表にしました。'_' はグラフに含まれていない辺です。すべて1の立ち方が極大となっています。
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
1 | 12 | 123 | 1234 | 12345 | 123456 | 1234567 | 12345678 | 123456789 |
0 | _0 | __0 | 0__0 | 1____ | _1____ | __1__0_ | ___1_00_ | ____1_00_ |
0 | _0 | __1 | 1__0 | 0____ | _1____ | __0__0_ | ___0_10_ | ____0_01_ |
0 | _1 | __0 | 0__1 | 1____ | _0____ | __0__0_ | ___0_01_ | ____0_01_ |
0 | _1 | __0 | 1__0 | 0____ | _0____ | __0__1_ | ___1_00_ | ____0_10_ |
1 | _0 | __0 | 0__1 | 0____ | _0____ | __1__0_ | ___0_10_ | ____0_10_ |
1 | _0 | __1 | 0__0 | 0____ | _0____ | __0__1_ | ___0_01_ | ____1_00_ |
表の一番上のものを図にしたのが、図2です。点線の辺が縮約する辺(負の辺)です。表の2番目のものが図3です。後の4つは、図3を回転させることによって得られます。図2も図3と、グラフの対称性を考えれば同じものと見なせます。ピーターセングラフを5点の完全グラフに縮約する方法は本質的には1つしかありません。
Σ(K7∧R) を計算してみましたが、最小項の数は 8,581 で、Σ(K6∧R) と変わりありません。これは6点の完全グラフに縮約する方法がないことを意味します。